前著、「AI vs.教科書が読めない子どもたち」の衝撃から一年半!
AIに負けない人間の強みは「読解力」にあり!
読解力アップの実践法を紹介した続編「AIに負けない子どもを育てる」には、体験版リーディングテストが付いています!
親子で「体験版リーディングテスト」に挑戦した結果、前作と共に本書の魅力を紹介させていただきます!
✔子育て世代必見!
✔社会人にとっても「読解力」は武器になる!
✔何歳からでも「読解力」は向上させることができる!
【AIに負けない】AIの苦手を明らかにするところから
前著「AI vs.教科書が読めない子どもたち」は、そもそもAIとは何か?人間との違いは何か?をあきらかにする試みとして「東大合格をかかげたプロジェクト”東ロボくん”」を紹介。
世間のAIを巡る問いをあっさりと否定するところから始まります。
<AIに対する世間の誤解>
✔AI が神になる
→ なりません!
✔AIが人類を滅ぼす
→ 滅ぼしません!
✔シンギュラリティが到来する → 到来しません!
AIとシンギュラリティ
「AI vs.教科書が読めない子どもたち」において、数学者である著者:新井紀子氏は「AIとは何か」と、独り歩きしがちな「シンギュラリティ」という言葉について厳密に定義しています。
AIとシンギュラリティ
AIはまだ存在しない
AIについてのお話を始める前に、AIやシンギュラリティに関する議論の行き違いを防ぐために確認しておきたいことがあります。一つは、実は「AIはまだどこにも存在していない」ということです。AIはartificial intelligenceの略です。一般的な和訳は人工知能で、知能を持ったコンピューターという意味で使われています。
(中略)
人工知能の実現には2つの方法論があります。逆に言うと2つしか方法論はありません。一つは、まず人間の知能の原理を数学的に解明して、それを工学的に再現するという方法でしょう。もう一つは、人間の知能の原理はわからないけれど、あれこれ工学的に試したら、ある日、「おやっ!いつの間にか人工知能ができちゃった」という方法です。
前者は原理的に無理だと、多くの研究者が内心思っています。なぜか。人間の知能を科学的に観測する方法がそもそもないからです。自分の脳がどう動いているか、何を感じていて、何を考えているかは、自分自身もモニターできません。文を読んで意味がわかるということがどういう活動なのかさえ、まったく解明できていないのです。(中略)
後者は・・・その可能性を全否定はしません。ただし、銀河系のどこかに地球のような星があって、私たちよりも知的に発達した生物がいるかもしれない、ということを否定できないのとあまり変わりありません。
ただし、断言できることもあります。今、盛んに研究されている「ディープラーニング」などの統計的手法の延長では人工知能は実現できません。「AI vs.教科書が読めない子どもたち」より
テレビドラマや映画の世界では、人間以上の知能や運動能力を持つコンピューター、アンドロイドが登場しており、夢やロマンを抱く人もいます。
現実世界でも、プロ棋士が囲碁のゲームソフトに負けたというニュースを耳にして、「ついにコンピューターに人間が負けた」とセンセーショナルに報道されました。
だから、コンピューター(AI)が近い将来に人間の能力を超える!とはならない、ということなのです。
シンギュラリティとは
AIに関連する言葉として今一番人々の関心を集めているのはおそらくシンギュラリティ(singularity)でしょう。
(中略)
シンギュラリティのもともとの意味は非凡、奇妙、得意性などですが、AI用語では正確にはtechnological singularityという用語が使われ、「技術的特異点」と訳されます。それは、「真の意味でのAI」が、自律的に、つまり人間の力をまったく借りずに、自分自身よりも能力の高い「真の意味でのAI」を作り出すことができるようになった地点のことを言います。
(中略)
コンピューターが数学の言葉だけを使って動いている限り、予見できる未来にシンギュラリティが来ることはありません。
(中略)
つまり、「真の意味でのAI」が人間と同等の知能を得るには、私たちの脳が、意識無意識を問わず認識していることをすべて計算可能な数式に置き換えることができる、ということを意味します。しかし、今のところ、数学で数式に置き換えることができるのは、論理的に言えること、確率的に言えることの3つだけです。そして、私たちの認識を、すべて論理、統計、確率に還元することはできません。
その上で前著では、リアルタイム物体検出システム(YOLO)、クイズ王を打倒した「ワトソン」の活躍など、最新のAIの仕組みを知ることができます。
また、AIの得意とするところから、どのような仕事がどんな形で奪われる可能性があるのか?
「AIに仕事が奪われる未来予想図」として、思いもよらなかった仕事がAIに代替される未来が予想されています。
AIの弱点は「読解力と常識の壁」
2011年から東大合格を目指した「東ロボくん」は、2016年度には得意科目の「数学と世界史」で、受験生の上位20%の偏差値57.1に到達しました。
一方で、国語と英語については、「常識の壁」を超えることができず、「意味を理解できない」AIが攻略することは困難であることが明らかとなりました。
そこで著者は、AIに代替されないために必要な能力は「読解力」にあると考え、基礎的読解力テストを開発し、全国2万5000人の調査を実施します。
その結果、中高生の多くが「教科書レベルの文章」を正確に読めていないという驚愕の事実が明らかになったのです。
このままでは、AIに仕事を奪われる!危機感をもって書かれた前著は、教育関係者から子育て世代まで、30万部を超える話題作となりました。
RST「リーディングスキルテスト」からわかったこと
AIの「自然言語処理技術の限界」を明らかにするRST
AIと人間との違い、人間の読解力を診断し得る高品質なベンチマークとして、RSTは開発されました。
前著の出版(2018年2月)から、わずか1年の間に、小学6年生から一流企業のホワイトカラーまでの14万人が受検!
このRST研究の成果をまとめた書籍として「AIに負けない子どもを育てる」が出版されたのです。
教科書が読めない子どもと大人
RSTが明らかにしたこと、それは「AIにとって難しいことは、多くの中高生にとって、それどころか大人にも難しい」ということでした。
AIの弱点を突くつもり、人間のAIに対する優位性を明らかにするつもりだったRSTが、逆に、人間の読めなさ加減を白日の下にさらすことになったのでした。
【AIに負けない】読解力向上がカギ
☆リーディングスキルテスト詳細「教育のための科学研究所」HPを参照
体験版リーディングテストに親子でチャレンジ
RST:事実について書かれた短文を正確に読むスキル
①係り受け解析…文の基本構造(主語・述語・目的語など)を把握する力
②照応解決…指示代名詞が指すものや、省略された主語や目的語を把握する力
③同義文判定…2文の意味が同一であるかどうかを正しく判定する力
④推論…小学6年生までに学校で習う基本的知識と日常生活から得られる常識を動員して文の意味を理解する力
⑤イメージ同定…文章を図やグラフと比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力
⑥具体的同定…言葉の定義を読んでそれと合致する具体例を認識する能力
「AIに負けない子どもを育てる」には、RSTスキルについて7項目(⑥具体的同定は「辞書的」設問と「理数」設問の2種)それぞれ難易度が4段階に設定された4問、計28問からなる「体験版リーディングテスト」が収録されています。
結果は…
(4問/10点満点) | なんちき | 我が家の高2 |
①係り受け解析 | 10/10 | 6/10 |
②照応解決 | 6/10 | 9/10 |
③同義文判定 | 6/10 | 6/10 |
④推論 | 4/10 | 7/10 |
⑤イメージ同定 | 7/10 | 10/10 |
⑥具体的同定(辞書的) | 3/10 | 5/10 |
⑦具体的同定(理数) | 6/10 | 7/10 |
現役高校生の方が「読解力」ありとの結果になりました💦
14万人の調査結果より、項目①から順に正答率が低下し、中学生までは向上が見られるが高校生で成績は横ばいになる。
つまり、基礎的読解力は15歳前後で「いったん止まる」という結果があきらかになっています。
<タイプ別診断>当てはまりすぎてびっくり!
✔理数系が苦手?<前高後低型>
①~③の項目6点以上、推論・イメージ同定・具体例同定の2つ以上が3点以下
●この本を手に取る可能性が高い層で最も多いタイプ
●活字を読むことは嫌いではないし、知的好奇心はあるのに、理数系やコンピューターに苦手意識がある
●一行一行確実に読むよりも、キーワードを拾ってザックリ理解しようとする
●高校一年までには「数学が苦手だな」と感じ始めていた
その他、推論が苦手なことで取りやすい行動として「経験値と空気に頼る」、「自己啓発本に感化されやすい」など、耳の痛い指摘がされます。
その他の典型例
✔自分でもっと伸ばせる
<全分野そこそこ型>
④推論、⑤イメージ同定、⑥具体的同定のどれかは3点をとってしまったが、ほぼすべて6点をとることができたのに、なかなか10点が取れなかった層。
✔中学生平均レベルは<全低型>
読みの最も基本になる①係り受け解析、②照応解決のどちらかが3点以下だった層が中学生の平均と同じレベルであり、その結果、ほぼ全ての分野で3点以下になってしまった層。
本書の最後には、この「全低型」を半年で克服し、ベンチャー企業のCTOに就いた人の手記が掲載されており、希望が持てる点が救いとなっています。
リーディングスキルは改善できる(注意点)
✔RST使用上の注意ー「練習しないでください」
RSTは達成度テストではありません。100点を目指しましょう、級が上がるように頑張りましょう、というテストではないのです。あくまでも、いくつかの指標から基礎的・汎用的読解力を「診断」するツールに過ぎません。
視力を向上させるために毎日視力検査を受ける、という愚かなことをする人はいないでしょう。RSTも同じです。「AIに負けない子どもを育てる」より
「みんなちがって、みんないい」は罪作り?
共同研究の相手として名乗りを上げられた4自治体の小学校の授業風景から改善のポイント、授業解説の具体事例を紹介。
「一人も置き去りにしない」ための工夫、学校プリンターやコピー機の導入、パソコンでの資料作成があたりまえになったことにより、キーワードの穴埋め型のプリントが増え、ノートを取らせなくなったことの弊害と読解力への影響が考察されています。
一見よいとされていることや工夫が「読解力」を育てることの妨げになっているのではないかという指摘に驚きました。
加えて、電子黒板もデジタル教科書も小学校では入れなくてよいとし、ITと教育を融合させた「EdTech」に反対を表明されていることも注目したいポイント!
「意味がわかって読める」子どもを育てるために大切にしたいことが、幼児期から小学校低学年・中学年・高学年と年代ごとにまとめられており、子育て世代必見です。
大人になっても読解力は上がる
むしろ、「絶対に読解力を上げないといけない」というインセンティブを持つ大人のほうが上がる可能性があると私は考えています。
ただし、長年、「キーワードピッキング」やスマートフォンの「スワイプ読み」に慣れきってしまっている脳を、一行一行しっかり読むようにトレーニングするのは想像以上に苦痛でしょう。
(中略)
読解力が上がると、生産性が向上します。がむしゃらにこなしている仕事のやり方も変わり、自己肯定感も高まります。AIに仕事を奪われることを恐れる必要もなくなります。
「AIに負けない子どもを育てる」より
✔大人が読解力を身に着けるために(体験談)より
●速く読むことよりも、正確に読むことを重視する
●どのような文を書くと相手に正確に伝わるかを考えて書く
●普段の生活の中で、ゆっくりでも正確に意味を理解しようと心掛けることが第一歩
「教育のための科学研究所」
~学校のホームページのプラットフォーム「edumap」事業~
震災下でも、多様なルーツを持つ生徒が通ってきても、保護者が自分の母語に機械翻訳して給食だよりや学校だよりなど、必要な情報をいつでも触れられるようにできることを目指した取り組みです。
本書の印税は、すべて「edumap」の構築とメンテナンスに充てられるそうです!
医療や介護の仕事は、人間関係、コミュニケーションが要
簡単にAIにできる仕事ではありません!
コミュニケーションの力でもある「読解力」が大切になる職業です。
その上で、エビデンスの不十分さや個人差が指摘されることも増え、工学分野において徒手的なリハビリテーションを代替するマシンの開発もすすんでおり、決して楽観はできません。
日常的には、読み飛ばし、動画に時間を取られることが増えていることは自覚していたものの、「体験版リーディングテスト」結果は、少々ショックでした(>_<)
これも、人生にとって大切なことを見直す良いきっかけ!
人間ならではの力をみる「リーディングスキルテスト」にあなたも挑戦してみませんか?
最後まで読んでくださり、ありがとうございました☆