OTノート

【ケアマネ再研修】脳血管疾患のケアプラン「入院リハから在宅リハ」へ

ひきつづき、介護支援専門員再研修参加中のブログ管理者:なんちきです!

 

なんちき
なんちき
前回は介護予防ケアプランについて学習しました!

 

『自立支援』は引き続きのテーマとして・・・

ここからは、障害(疾患)事例別の居宅サービス計画書作成研修となります。

中でも、長いお付き合いになることの多い「脳血管疾患事例」のケアプラン作成が今回のテーマです。

多くの方が、入院リハビリを経験したのちに、在宅退院後に介護保険リハビリサービスに移行していきます。

✔医療保険リハから介護保険リハ=入院リハから在宅リハへ

▶制度上の歴史的経過

▶医療保険リハと介護保険リハの違い

▶脳血管疾患の主な後遺症である片麻痺の予後

これらにについて、事前学習、研修を通して思うところが多くありました。

 

✔脳血管疾患の生活期リハとケアプランとは?

 

なんちき
なんちき
事例Dさん?お会いしたことありませんか^^?

既視感満点事例のケアプラン作成を通して学んだ事、記録に残しておきたいと思います!

【ケアプラン】脳血管疾患の生活期リハビリプラン

☆辞書並の厚さの上下巻テキスト

実務研修テキスト「半年で回復停止の記載」に思うこと

 

講師の先生
講師の先生
テキストを予習して課題整理総括表を作成してきてくださ~い!

 

✔ケアマネジメントの展開「脳血管疾患の事例」

「脳血管疾患の特性や療養上の留意点、起こりやすい課題を踏まえた支援にあたってのポイントを理解する」という目標に沿って、教科書には疾患の分類から端的にまとめられています。

脳血管疾患は介護が必要となる原因の第2位

▶70%以上の人は、何らかの後遺症が残ったまま生活をしていく

▶後遺症は、発症から3か月までに80~90%の人は回復が停止し

▶発症6か月までに90%以上の人の回復が停止する

※原因疾患第1位は認知症です。

上記の記載に…

なんちき
なんちき
「半年で回復停止」って言いきらないで~(>_<)

 

と、筆者を含む多くのセラピストが、ふがいなさと抗議の気持ちを持ったのではないかと思います。

患者さんは千差万別。

多くの方が後遺症とつきあいながらの暮らしとなることは事実であり、単純骨折のように、「骨がくっつけば元通り」というワケにいかないのも事実。

 

✔後遺症が残るからこそ介護保険が必要

✔半年たったら「障害固定」という診断で身体障害者手帳を申請

という流れはある意味当然です。

【リハビリテーション】保険制度からの振り返り

脳という、どんな精密機械でも真似のできない、複雑神秘な器官。

人間の人間らしさを司る、替えの効かない臓器。

脳血管疾患リハビリテーションの歴史

1970年代から続く徒手的アプローチは今も最新の脳科学の知見を取り入れながら続けられています。

一方で、回復期リハへのアウトカム評価の導入を背景として、利き手交換など残存機能・代償の強化による日常生活動作の早期自立に主眼が置かれてきました。

リハビリテーション医療のエビデンスが問題視される中、麻痺側の学習性不使用の行動変容を促す治療法としてCI療法(課題志向型アプローチ)が登場。

2004年脳卒中治療ガイドラインからエビデンスの高い治療法として推奨されており、随意運動を阻害する筋の痙縮軽減を目的としたボツリヌス治療、装具療法の併用により、発症後数年が経過した後遺症の改善報告も聞かれるようになっています。

いずれにしても、脳の可塑性は脳神経科学的にあきらかにされており、発症初期のショック状態を脱し、在宅に退院した発症半年目以降に、環境への適応と活動性が保たれることで、回復は十分に期待できるのです。

なんちき
なんちき
脳のリハビリテーション最新知見と経験した回復事例についてはまたあらためて記事にさせていただきたいです。

疾患別リハビリテーション期限=医療保険外来リハの終了

▶2000年介護保険制度開始。

▶2006年には医療保険に疾患別リハビリテーション料が新設され、これまでの個別療法ごとの診療報酬は廃止されました。

ここで維持期=生活期のリハビリテーションは大きな転換点を迎えました。

疾患別リハビリテーション期限切れ後の、外来リハビリの介護保険制度への移行方針が明確になったのです。

長らく経過措置がとられてきましたが、ついに2018年改定において原則、疾患別期限後は介護保険移行となりました。

疾患別に、診療報酬の支払われる期間が定められたことで、脳血管疾患については、医療保険リハが可能なのは発症から180日間となりました。

「リハビリ難民を生む」という不安の声の一方で、「リハビリが目的化」している「リハビリ漬け」「だらだらリハ」と、漫然と心身機能に偏った関わりを行っている療法士への批判が背景にあったことも事実です。

入院リハと在宅リハ

大きな違いは、療法士が直接かかわれる時間と頻度

脳血管疾患ならば、救急対応、急性期病院からの多くの場合は、回復期リハビリテーション病棟のあるリハビリ専門病院に転院となります。

回復期リハビリテーション病棟では、入院日より高次脳機能障害があるという想定で最大180日間の入院が可能(ただし、制度上、早期回復、退院支援が望ましいとという診療報酬、算定基準が設定されており、なるべく早期の在宅退院がすすめられます)。

早期退院を目指して、毎日9単位(1単位20分×9)1日3時間の療法士の直接支援が行われます。

退院後、リハビリテーションの継続が必要ならば、介護保険リハビリサービスである通所リハビリか訪問リハビリ(訪問看護からのセラピスト訪問含む)を選択することになります。

退院後3か月間という期間に限り、1回40分以上の個別リハビリテーションを受けることができますが、退院直後でもその頻度は「週6単位=2時間」と定められています。

毎日3時間が週2時間になる

このことを踏まえて、入院中早期から在宅生活をイメージし、自ら動く活動の習慣化が療法士に求められる支援になるはずなのですが…

現実は、「療法士とのマンツーマンの機能訓練こそがリハビリ」「療法士に動かしてもらわなければリハビリできない」という依存を生みやすい環境となってしまいやすい。

生活の中でなるべく麻痺側を使うことが習慣化、環境に対して能動的に活動していくことが入院中から志向されていない場合、退院後、閉じこもりがちになり、動作能力を低下させてしまう例も多くみられます。

だからこそ、入院中から1日24時間と週間スケジュールをいかに、ご本人の思い描く生活の実現と現状とのギャップを埋めつつ、新しい生活を再建する方向へと転換していけるか?

麻痺を治してから元の生活に戻るという思考からの転換をはかりつつ

ご本人の望む暮らしを実現する「生活期リハプラン」であることが理想です。

【脳血管疾患のケアプラン】研修事例・振り返り

研修事例:Dさん/68歳・男性/脳出血右片麻痺・運動性失語症

妻(62歳)と2人暮らし。妻は持病あり。仕事の継続希望。他家族の介護協力なし。

店舗兼2階建て住居。元自転車屋廃業後は趣味の釣りを楽しまれていた。

<現在の状態>

発症4か月目。回復期リハビリ病院入院中。介護認定:要介護3

移動:リハビリでは四点杖で数m歩行可能も病棟内は車椅子一部介助。

トイレ動作:病棟トイレを誘導で使用(夜間はポータブルトイレ)。ズボンの上げ下ろし要介助(排泄コントロールは良好)。

入浴:一般浴。浴槽移乗要介助。

その他身辺動作:非利き手動作となるため食事・整容・更衣とも見守り・一部介助が必要。

コミュニケーション:運動性失語のため「おー」と発声は可能だが単語表出困難。聴きとり、理解は比較的良好。

精神面・その他:言いたいことが伝わらず時々イライラとした様子を見せる。トイレ、リハビリ以外はベッドで横になっていることが多い。

退院前カンファレンスを前にケアマネが選定され、Dさん,妻との面談、退院前カンファレンスへの参加、主治医意見書の情報を元に、居宅サービス計画書を作成するという課題です。

なんちき
なんちき
身の回りのこと、特にトイレを解決しないと厳しい!

課題整理総括表を事前に作成する段階で、何より入院リハの進捗にツッコミをいれたくてたまらない事例なのでした(・・;)

家屋環境は、1階店舗奥に本人居室環境をつくる予定だが、廊下が狭く、屋内で車椅子を使用できないことが問題とされていましたが・・・

伝い歩きでのトイレ利用が実現できる可能性はあり、在宅生活の継続にもトイレの自立は最重要課題です。

退院までに在宅環境を想定した、伝い歩きでの病棟トイレの使用練習を行うべきであり、当然、入院担当療法士は、たとえ直接家屋調査に行けなくても、自宅環境の情報収集は済んでいるはず!?

夜間は、入院中も介助でポータブルトイレを使用していることを踏まえて、まず移乗動作、片手でのトイレ動作(下衣操作・後始末)獲得の目途をできるかぎり入院中につけておく。

人手も環境も整っている病棟でできていないことは、家でもできない。

※もちろん入院環境への不適応で活動性が低下している場合は、自宅で本来の力が発揮できる方もおられます。

「家に帰ったらできるかも」という希望的観測は多くの場合成り立たない。ということを、これまでの経験上痛感しています。

テキストのプランは週3回の通所サービス(通所リハ2回、通所介護1回)のみが計画されていたのですが…

筆者としては、上記のトイレを含む身辺動作の自立に注目、間を埋めるプランが必要!と感じ、訪問系のサービスを導入するプランとしたのでした。

【ケアプラン】本人・家族の望む暮らしの実現にむけて

なんちき
なんちき
2015年度介護報酬改定はリハビリテーションを巡る歴史的転換点でした。

Survey(情報収集)→Plan(計画)→Do(実行)→Cheeck(評価)→Action(改善)

SPDCAサイクルを回して、心身機能に偏ることのなく、活動と参加にバランスよく働きかけるリハビリテーションマネジメントを実施すべし!

そして、介護保険利用の終了(卒業)を支援することを求め、療法士のこれまでの働き方を問う大きな改定でした。

研修でも、ICF=国際生活機能分類を用いて、個人因子、環境因子その強みにも着目しながら、アセスメントすることの重要性と、リハビリテーションマネジメントとの連携がケアプラン作成に欠かせないことを学びました。

大切なことは・・・

▶「本人の望む暮らし・ニーズ」からケアプランの作成ははじまる

▶ケアプランは何よりもご本人のものである

療法士目線でのリハビリテーション内容、入院リハから在宅リハへのソフトランディングをいかに実現するかという点に意識が向きますが、脳血管疾患のケアプラン=生活期リハプランです!

これまで出会った利用者さんらを思い浮かべながら、あらためて、「生活を良くするリハをあきらめない」支援者でありたいと心を新たにしました。

 

なんちき
なんちき
最後まで読んでくださり、ありがとうございました☆

 

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