児童養護施設からの失意の短期離職→元職作業療法士として、原点の精神科領域で学び直そうと、精神科訪問看護の職場に再就職してちょうど一年になりました。
1か月の時点で、まさかの短期離職にあふれた厳しい職場であることに気づき(汗)、ひとまず、初心に返って「守・破・離」なのだー!と、記事にしてから、あーっという間にすぎたこの1年を振り返っておきたいと思います。
【短期離職からの再就職】1年の振り返り
緊張と慣れの間で
精神科訪問看護ステーションに元職、作業療法士として就職しました。
訪問の仕事は介護保険現場では10年以上の経験があり、1日数件、雨の日も風の日も、炎天下の中でも、時間から時間を自転車移動する仕事であることは最初から心得ておりました。
思春期の子どもたちの寝食を1人夜勤で担う前職に比べたら、圧倒的に体力的にも精神的にも「楽」としかいいようがありません。
(それほどに学園の仕事はきつかった)
カリスマ創業者の元で学びたい!という看護師さんがいくらでも集まる「採用には困らない」のが今の職場。
中途採用メインの職場ですが、「未経験OK」をうたっており、入職1年目=新人として教育システムが構築されています。
どんなキャリアや背景があろうが、何歳であっても、基本的には1年目は新人さんです。
…と思えれば、アタリの職場であります。
ところが、人間そうは簡単にはいかないところもある。
これまでのやり方、自分なりの考え、経験を否定するような気持ちに陥ると、職場のアラばかりが目に付くのもまた真理でして…
まずは給与面
今までの経験は一応踏まえてくれるものの、微々たる査定でありまして、基本給を低くして、みなし残業と資格手当で手取りを厚くみせる、典型的な給与体系です。
『土日が休み』、週4日も選べる、という利点に惹かれたとしたなら「アリ」の手取り額であります。
そういった、サラリーマンにとって最も重要視される給与、待遇面に納得した上で私も含めて誰もが就職したはずなのですが…
こんなはずじゃなかった!思っていたより体力的にも精神的にもきつい!しんどい!
いろんな理由で、バタバタと短期離職することが常態化した発展途上の職場です。
背景には、看護師さんにとって、職場はいくらでもある、転職に困らない職業だということもあるかもしれません。
同期入職者が2人、どちらも半年以内で退職しました。他店舗含むとその倍以上が、1年経つ前に去りました。
その上で思うこと
最初の半年は、どんな年齢で、経験のある人であっても、「誰しもが緊張の連続」です。
勤怠管理、記録のすべてがiPadで一元管理されており、1件30分の訪問記録は、その場で「今日のやり取り」として、利用者さんと共有する形でまとめて、積み重ねていくことになっています。
そして、今までの経験からは一線を画す特徴が、毎月の報告書・計画書といった書類を利用者さんと一緒に作るというところ。
『記録も報告書や計画書も全ては利用者さんのもの』
今までも、利用者主体であろう、利用者さんにとってどうかを常に忘れない事を大切にしてきたつもりでしたが、当たり前のように、支援者間の情報共有的な感覚で、支援者が「勝手にまとめて作る」ことが常態化してました。
この月末書類作成が新人にとっての大きな壁になっている面はあると思います。
私の場合は…
そう受け止められていることで、抵抗なく、厳しいツッコミも「なるほど!」と思え、作成に向き合えているところは、自分が踏ん張れてる部分かなと思います。
そして何より、日々の訪問看護で繰り広げられる30分の対話が「楽しい」
もちろん、症状に伴う「拒否」、相性のようなものはやっぱりあります。
だから毎日「緊張」します。
時に気づいていなかった自分に気づき、情けなく落ち込んだりしながら、人生いろいろ、その人それぞれの選択の上で今があるということに、並走して時間を過ごすことの貴重さ、おもしろさを感じています。
ある意味、業務的な流れをつかむことには1年で「慣れ」も出てきました。
また、ここから貴重な時間の共有を、利用者さん、チームスタッフさんらと積み重ねていくことが楽しみな自分がいます。
生きることに全力でむき出しの子どもたちとの関係に、すっかり心が折れてしまった、情けない自分が確かにいたことを忘れずに。
もう一回、人の心、精神、生活をするということに向き合うことを、30分という時間の積み重ねの中で、今のところ医療保険制度として、対価をいただける立場で経験させてもらえていることに感謝です。
自分の後から就職された方は、今のところ退職せずに定着してくれそうです。
さあまたここから、体力、気力が許す限り現場にあと何年立てるか。
緊張と慣れの間をうまく泳いでいけるといいなと思っています。
最後に…作業療法士としてこの職場はありか?
元々は、看護師と作業療法士とで立ち上げたという職場だったようですが、制度的にも制約がある作業療法士は全体の1割となっています。
なんといっても精神科訪問「看護」
看護師でなければならない場面が制度上定められており、わざわざ作業療法士を雇う方が面倒くさい面があります。
その上で作業療法士だからこそ、地域で生活するという時に活かせるところがあると考えられて、配置されている面がある。
仕事はほとんど同じです。
その中で、作業療法士であることの意味は自分でもう少し実践して言葉にしていく必要がるなと感じているところです。
幸い、職場には創立当初から働く先輩もおられ、チームとして看護を行うことを前提にしながらも、端々で作業療法士らしい視点が感じられてうれしくなることもあり、ありがたい限りです。
緊張と慣れの間からこぼれ落ちそうになった時に、また振り返りたいと思います。